Matsuzawa​

大学院修士課程で生物工学を専攻、遺伝子組み換え等の技術を学び、微生物を用いた医薬品開発の基礎研究を行っていた。新卒では化粧品メーカーに入社し、約2年間、研究職として処方設計・品質管理・効果検証・製造立会いなど、一連の商品開発業務に従事。2021年6月、メディカルライターとしてエムスリーに入社。

―松澤さんは、化粧品メーカーの研究職を経て、メディカルライター職でエムスリーに入社されたそうですが、転職を決めた理由を教えてください。

スキンケア製品およびメイク用品の開発業務に携わって1年ほど経ったときにコロナ禍に入り、化粧品、特にメイク用品の需要が落ち込む中で社内でも開発規模の縮小が進んだため、転職を考えました。当初は化粧品業界の同じような職種を検討しましたが、キャリアが浅い今だからこそできる選択をと考え、思い切って異業界に挑戦することにしたのです。

そして、新卒の就職活動でも人の心と体の健康に貢献したいという軸があり、医薬品業界に元々興味があったので、より根本的に、病気で困っている人の健康に貢献できる医薬品業界への転職を希望しました。
そこで前職とのつながりで医薬品製造の品質管理職も検討しましたが、文章を読み書きするのも好きだったため、その掛け合わせでメディカルライター職を考え、エムスリーに入社しました。

―現在の仕事内容を教えてください。

エムスリーのメディカルライターの特徴として、オンコロジーやプライマリ、スペシャリティなど、領域を限定せずにさまざまな製品を担当できることがあります。現在は1製品を1人のライターが担当する体制を基本としています。クライアントである製薬企業から、その製品のマーケティング戦略およびコンテンツで伝えたい内容などを、コンテンツプロデューサー(CP)と一緒にヒアリングして、コンテンツ提案を行い、原稿に落とし込むのが主な仕事です。
製品によって手掛けるコンテンツ数は異なりますが、経験した製品数は入社後からの約2年間で40を超えました。現在担当している製品数は約15で、整形外科、呼吸器、循環器、泌尿器、オンコロジーなど、多岐にわたっていてキャッチアップが大変ですが、ある領域で得た知見をまた別の領域の仕事に活かせることも多いです。

―入社は2021年6月とのことですが、異業種からの転身で、どのように独り立ちをしてきたのですか。

入社直後は毎日、ライターチーム内のメンターとチームリーダーそれぞれとオンラインで1on1があり、日々の疑問を解消していきました。また、ライター業務で必要とされる知識やライターが関わるエムスリーの主要サービスについては、社内のオンライン講義を一通り受講して、キャッチアップしました。

実務はOJTで学び、最初は全てメンターから指示や説明を受け、執筆した原稿もチェックを受けてからクライアントに提出。そこから半年くらいかけて、独力でできる業務を徐々に増やしていきました。メンターと離れ、完全に独り立ちするのに約1年かかりました。やはり異業種出身なので、薬剤知識などの面で他のライターより時間かかったところがあります。今振り返ると、個々の能力に合わせて社員を育成する土壌があったからこそ、悩み過ぎることなく、できることを着実に増やしてこられたのだと感じています。

―成長をサポートするような仕組みは何かありましたか。

エムスリーでは入社して、いつまでに何をできるようになるかという目標を立てる「キャッチアッププラン」という仕組みがあります。入社から1週間、2週間、1ヵ月、3ヵ月と定期的に1年半までをベンチマークに、その時にはどの研修を受講しておくべきか、OJTで何を学んでおくかなど、ライターとしての到達目標が設定されています。

その目標というのは、たとえば3ヵ月後のライター業務であれば、「原稿執筆を週2本程度、社内チェックが必要な箇所が自分で特定できている状態で仕上げる」「試験データを紹介するような、シンプルなコンテンツの構成案が作成できる」といった内容です。
それを○×△の3段階で自己評価して、メンターやリーダーからのフィードバックとの両面で、到達状況を確認しながら進めていくのです。そうした評価も、エムスリーでは率直にフィードバックをくれる人が多いので、自分の課題点や得意な点が分かり、次のステップを見据えやすいと思います。

―とはいえ、異業種・異職種からの挑戦です。この2年で最も苦労したことを教えてください。

ライターには高度な医療知識が求められますが、基本的な医療知識から足りていなかったため、どのような業務を行うにも時間がかかっていました。たとえば原稿を1本執筆するには、その製品情報や、臨床試験のデザイン、臨床試験データの解析に用いられる医療統計知識などをふまえたうえで、プロモーションルールに則った表現に留意しなければなりません。そうした確認をしながら1本の原稿を書き上げるので、とにかく時間がかかりました。

多くの案件を経験する中で自然と知識不足も克服できる部分はありましたが、自分でも案件ごとに時間を決めて、その時点でのベストを尽くすことにしていました。そうして1年経った頃から、医師にインタビューして取材原稿を書く案件を担当し始めました。インタビューを行う際には、製品や疾患周辺情報(検査、診断、治療など)について事前の予習を綿密に行って臨むようにしており、医療知識をより深く広くキャッチアップする良い機会になっています。

―前職の経験で役立ったことはありますか。

ライター業務では情報を正しく伝えることが重要です。その点で、開発職で細かいところまで正確性を追及していた姿勢は役立ちました。さまざまな原料の処方量や、製造する際の温度、効果検証の結果など、事実を正確に記録して開発のPDCAを回していくことが常に求められていたのです。
ただし、エムスリーではその正確性を、スピードと両立させねばなりません。メールのやり取りのスピード感は前職の10倍以上に感じられましたし、社内での会話やディスカッションも活発で密度が濃いです。その分、相談も気軽にできるのは良かったですね。返答もスピーディなので、疑問もすぐ解消できる環境といえます。

―今後の目標を教えてください。

1人前のライターとして活躍するには、まだ土台が足りていないと、異業界からの転身なので常に感じています。入社したときチームリーダーにいわれたのは、ライターに求められるのは「学術的な知見」「プロモーションルールの理解」「マーケティング力」という3つだということです。この3つの柱をバランスよく成長させていくのが、今後の目標ですね。
そのなかで、プロモーションルールの理解は入社当初から力を入れて、研修でもキャッチアップしてきた部分なのである程度土台があります。鍛えたいのは、やはり学術的な知見です。さらに私が入社した頃から、ライターも提案活動を積極的に行っていこうとしており、そこでもマーケティング力が欠かせません。ですから、学術的知見とマーケティング力のふたつを、特に伸ばしていきたいと思っています。

―最後に、この記事をご覧の方にメッセージをお願いします。

医療業界は常にめまぐるしく変化しており、m3.comではタイムリーで臨床に役立つ情報提供が求められます。ですからライターは、そうした新たな情報や変化に常にアンテナを立て、周囲にも発信していけることが重要です。私が目指している姿でもありますが、自分の知見や考えを惜しみなく周囲に発信して、組織の成長や医療業界の発展の為に役立てたいという、エネルギーのある方が活躍できると思いますので、ぜひチャレンジしてください。