Takahashi
生化学領域への興味から理系を志し、薬学部に進学。卒業後の2015年4月に、内資系の中堅製薬会社に入社し、学術職として約5年間、MR教育や社内外の問い合わせ対応、製品情報の収集・分析を担当。2020年2月、エムスリーに入社。メディカルライターとして経験を重ねている。―高橋さんは、製薬会社の学術職からエムスリーのメディカルライター職に転身されていますが、転職を考えた理由を教えてください。
薬学部で6年間学び、病院や調剤薬局で実習するなかで、薬剤師として働くよりも、製薬会社に入って特定製品の知識を身につけ、その分野で専門性を高めて医師に対する有益な情報提供を行うことで医療に貢献したいと考えるようになりました。そのような想いでDI(Drag Information:医薬品の情報管理業務、学術職)の道に進んだのです。
そうして前職では学術職として、自社製品のプロモーションのために、MRの教育用資料作成や医師に伝える話法の文章作成を行ったりしていました。会社の方針として、学術職はMRをサポートする役割であり、病院への医師訪問にも積極的に同行する体制だったので、最初はそれが勉強になり、医師と直接接することができるのも良い経験でした。しかし、MRから頼られる機会が増えるのに伴って、本質的な学術職の業務以外の仕事や営業色の強い業務が増えていくにつれ、本来やりたかったDI関連の仕事に集中して取り組みたいと思うようになったのです。それで転職活動に踏み切りました。
―そうしてエムスリーを選んだ決め手は何だったのですか。
最初は、医師に対してより専門的な情報提供を行うMSL(Medical Science Liaison)などの職種も含め、広く考えましたが、自分のやりたいことをよくよく考えるうちに、文章を書くことに思い至りました。そこで、学術職で経験したスライド作成などの業務を生かせそうな、医療系広告代理店のメディカルライターなどを検討していたところ、エムスリーにもメディカルライターの仕事があると知ったのです。
もともとエムスリーのことは学生時代から知っており、医師会員も圧倒的に多く、医療メディアの中では最も影響力が大きいことで興味がありました。そこでまず、電話でのカジュアル面談でエムスリーのメディカルライターの業務内容を伺いました。その際、日本の医師の9割以上という登録会員から自分たちの作成したコンテンツについてフィードバックをもらえること、また、CCGのコンテンツ作成に協力してくださるモニターの先生方から中立的な立場で情報収集することも可能であると聞き、魅力に感じました。特に、製薬会社から離れるにあたり、医師と製薬会社の間の中立的なポジションというのは重視したいと思い、入社へと気持ちが固まりました。
―エムスリーのメディカルライターとして、現在の仕事内容を教えてください。
m3.com上に掲載する、製薬会社のプロモーションコンテンツを中心に、コンテンツの元になる全体構成や原稿の作成などを担当しています。また、2021年からはお客様へのコンテンツ提案にもライターが積極的に関与するようになり、私自身、新たな挑戦として取り組んできました。入社1年目の頃はシンプルな臨床試験解説などの原稿案を作成することが多かったのですが、最近では、製品戦略や訴求すべきメッセージに基づき、コンテンツプロデューサーとともに実現可能なコンテンツのストーリーを考えたり、具体的な構成を提案する仕事も増えてきました。
―コンテンツ提案から参加するようになって、どのような難しさを感じていますか。
CCGでは製品や疾患領域を広範に扱いますが、前職の製薬会社ではその範囲が限られていたので、キャッチアップに苦労しています。たとえばオンコロジー領域は昨今、市場が活発で開発も進んでいますが、私にとっては大学時代で知識が止まっていた分野です。ですから、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬、遺伝子情報に基づく個別化医療など、細分化して進化している領域についてのアップデートにはとりわけ努めています。
さらに、そうした知識はほんの土台に過ぎず、CCGとしてはお客様から提供される資料からストーリーを編み出すだけではなく、こちらから示唆を出せるような付加価値に重きを置いています。経験がものを言う部分ではありますが、自分でも最大限努力が必要です。
―そうしたキャッチアップや自身の成長に役立つ、社内の仕組みなどはありますか。
CCGでは週2回、学術論文などをもとに15分程度のディスカッションを実施しています。コンテンツプロデューサーは、実際に担当する製品に関連した最新論文を発表したり、ライターも文献や論文を自分で調べて新しいものなどを共有しつつ、関連する製品における提案に生かせそうかなどを議論するのです。
また、担当外の製品に関することや注目すべきトピックスについては、なるべく時間を作って主要ジャーナルの目次などをチェックするよう努めています。
―エムスリーではマルチタスクで動くことが多いと思いますが、メディカルライターはどうでしょうか。
かなりのマルチタスクですね! 現在の私の例でいえば、継続的に原稿作成に関わる担当製品が約10件あり、そのほかに提案を4~5件ほど手がけています。製品によって疾患領域もさまざまなので、たとえば1日のなかで提案に関するミーティングが2件、原稿納期の近い製品が2件ある場合に、それが全て別の疾患に関することだったりするわけです。まず肺がん、次に希少疾患の肺高血圧症、そして全く違う感染症、といったこともしばしばありますので、頭の切り替えや都度集中することについては本当に鍛えられますね。
―働く環境として、エムスリーならではの魅力は何でしょうか。
エムスリーでは、突き抜けて優秀な方というのが本当にたくさんいます。その方たちから刺激を日々いただけますし、相談すれば的確なアドバイスをもらえるので、たいへん勉強になります。
よく、エムスリーには優秀な人が多いといわれますが、どう優秀なのかというと、ライターであれば、視野が広いうえに論点をサッとまとめて示すことができたりするんですね。実際、初めて関わる製品や疾患に関する内容だと、ミーティング開始後10分も経つと理解が追い付かないこともあります。まさにそういうタイミングで、チームリーダーがいったん議論を総括して論点をクリアにしてくれたりします。すると、自分自身の理解がどこで脱落したのか気づくことができるほか、さまざまな視点から出てきた意見が整理され、参加者全員がミーティングのアウトプットを具体的にイメージできるようになるのです。そうした高度な理解力や表現力を身につけることが当面の目標です。