Ito
医学系出版社と広告代理店の機能を持つヘルスケアエージェンシーで7~8年、編集・ライターとして働いた後、2009年8月、エムスリーに入社。m3.com編集部を経て、2015年にコンテンツグループ(現コンテンツクリエイショングループ:CCG)に異動し、ライターチームを立ち上げる。現在はライターチームリーダーとしてコンテンツ提案/原稿作成を進めるとともに、各メンバーの育成も担う。―伊藤さんは2009年にエムスリーに入社されていますが、転職の理由や入社の決め手を教えてください。
前職は医学系出版社だったんですが、新しいことにチャレンジしたいという想いが大きかったですね。本質的に科学的エビデンスが重視される医療系が性に合っていたので、そこを変えるつもりはありませんでした。そのなかでエムスリーは、当時から挑戦的な企業で、ここでなら今までできなかった新しい仕事に取り組めると思い、入社を決めました。
―入社してから、どのように仕事をしてきたのですか。
最初はm3.com編集部に配属され、製薬系に限らず医療全般の情報発信を担当していました。その中で、製薬系のグループとの接点があり、2015年にコンテンツグループ(現コンテンツクリエイショングループ:CCG)へ異動しました。今もさまざまなグループがありますが、それらが協業して接点を持っているのはエムスリーのいいところだと思います。CCGではそれまでライティングを外部に依頼することが多かったですが、ライターチームを立ち上げて内製化を進めました。現在は10名程度のチームになっており、その育成も担っています。
―エムスリーのメディカルライティングはどのようなものでしょうか。
CCGでは「世界で一番多くの、「治療が変わる。」をプロデュースする」をビジョンに、クライアントとなる製薬会社のプロモーション戦略を実現するためのコンテンツ提案/プロデュースを行っています。その中でCP(コンテンツプロデューサー)と一緒に、クライアントニーズや戦略を聞き取るところから、それを実際の原稿に落とし込んでいく過程を担当します。原稿は、コンテンツを作るうえで設計図のようなもので、プロジェクト当初からズレがないよう調整していくことが求められます。ライターが社内にいたほうが、クライアントニーズに沿った臨機応変な対応ができるので、内製を基本としています。
―そのほかに、エムスリーにおけるメディカルライターの特徴はありますか。
ライターというと、仕事を請け負うような受身の姿勢をイメージされる方もいるかもしれないですが、エムスリーでは、より能動的に関与できるポジションにあります。最初はライティングスキルを覚えてもらう必要がありますが、その過程で幅広い医学知識やプロモーション上の戦略的思考を学び、クライアントとの戦略ディスカッションにも深く関与して学術的な方向でリードすることもあります。
また、社内でもSPBU(ソリューションパートナービジネスユニット:製薬会社向けマーケティング支援事業における営業部門)などのグループと協業し、新規サービスやプロジェクトの推進を行うこともできます。このように、ライティングや学術知識を軸にしつつ、幅広い仕事に挑戦し、自身のキャリア価値も向上させていけるのが特徴と言えるかもしれません。
もちろん個々の志向性を尊重しますが、クライアントとのコミュニケーションを通してプロモーション戦略を理解・整理し、それを原稿に具体化していく過程に多くのライターが関与してほしいと思っています。入社当初から、こうした過程に同席いただき、その場を実感いただくということも始めています。さらに、新しく入社された方には、ライターとしてよりよい価値を出すためにぜひ意見いただきたいと思っています。エムスリー全般に言えることですが、どんなことでもディスカッションを歓迎する社風です。
―改めて、広告代理店などのメディカルライターとの違いは何でしょうか。
一概に言うのは難しいですが、広告代理店では、ある製品に関して、クライアントとともに深く入り込み、すべてを知っていくという面白さがあると思います。一方、エムスリーでは、デジタルプロモーションにおいて、製品戦略をサポートしていきます。現在、医師の情報収集チャネルは、デジタルがメインになっていることがわかっています。ですので、医師が最も時間を使っている場所で幅広な製品・領域を扱えると言えます。両者で一長一短あると思いますが、エムスリーではプライマリケアもスペシャリティも、オンコロジーも希少疾患も幅広く扱うことができ、その戦略的、学術的知見を蓄積することができます。そのように蓄積していくと、たとえばプライマリケアで得られた知見がオンコロジーで活かせるなど、今までの知識/経験が異なる領域においてつながる一瞬があります。それによって、クライアントの製品戦略に今までにない、新しい示唆を与えることが可能になります。
エムスリーの仕事は幅が広く、ともするとせわしないと思われがちですが、続けていくことで、多くの製品や領域で活用できる汎用的な知見が得られていきます。そうすると、今までの経験によらず、さまざまな製品課題に柔軟に対応できるスキルが身についていきます。エムスリーのライターには、そのように目指して仕事をしてほしいと思っています。
―そうした力は、メディカルライターとして武器になりますね。
多くの製薬会社や幅広い製品/領域、プロモーションにかかわることができ、そこから汎用的な戦略を考えられる場所として、エムスリーは稀有なポジションにあります。メディカルライターにとって多くの学びややりがいを提供できると思っています。