Endo

大学の薬学部を卒業後、病院薬剤師として、薬剤師が80名規模の大学病院で1年半、30名規模の地域中核病院で8年半ほど勤務。調剤や病棟業務、抗がん剤の調製などの病院薬剤師業務全般に従事するほか、緩和ケアチームにてチーム医療を経験。2013年1月エムスリーに入社。

―遠藤さんは病院薬剤師からエムスリーに転身をされたそうですが、転職の背景や理由をお聞かせください。

病院薬剤師の仕事において、患者さんに喜ばれることはやりがいでしたが、さらに、自分が取り組んでいることに対してもっと明確に評価をされるような環境を求めたのが、転職の理由です。専門性を生かすために医療業界には身を置きたいと思いましたが、病院や調剤薬局、製薬会社以外で業務する選択肢をあまりよく知らなかったので、まず、どのような仕事があるのかを調べて視野を広げるところから始めました。すると、医療関連会社や広告代理店でのメディカルライターといった選択肢があることを知り、3社ほど検討した中の1社がエムスリーだったのです。

決め手となったのは、医療業界における認知度と、面接官の熱量でした。当時の取締役が仕事や会社について熱く語ってくれ、エムスリーとしてめざす世界観の話はもちろん、私自身のキャリアについても長期的なビジョンを示してくれたのが印象的でした。それはエムスリーを退社したとしても、ここで築いたキャリアで活躍し続けられるといった内容も含んでいて、その懐の大きさに驚いたのを今も覚えています。

―そうして2013年に入社され、メディカルライターとしてご活躍です。だいぶ経験を積まれたことと思いますが、現在の業務内容はどのようなものですか?

基本的には医療用医薬品をプロモーションするためのコンテンツのシナリオライティングがメインの業務です。シナリオライティングの進め方としてはいくつかあり、医師に取材した内容をコンテンツ化するほか、自ら医学文献を検索して見つけたエビデンスに基づいて作成したり、クライアントである製薬企業から提供いただいた素材をもとに作成することもあります。また、新規受注獲得のために他部門のメンバーが行う提案活動の際、メディカルライターが学術サポートとして入ることもあります。そうした場面では前職の薬剤師経験が役立ちますね。また、経験を積むに従って仕事の領域も広がっています。シナリオライティングにのみ注力するところから、徐々に、コンテンツクリエイショングループ以外の他部門メンバーとのディスカッションなど、受注拡大に貢献することが増えました。

現在メディカルライターとして手がけるコンテンツ数は、年間で約400件、1日2件以上のペース。そのうち新薬に関するものが約3割で、あとの7割は既存の薬剤のプロモーションというイメージです。私自身、前職において緩和ケアチームでの就業経験がありますので、疼痛領域は特に専門的に手がけています。

―入社当時は、薬剤師としてはベテランであっても、異なる職種ということで苦労はされましたか。

オフィスワークが初めてだったのと、エムスリーでは病院に比べて一緒に仕事をするスタッフの年齢層が若く、職場の雰囲気にも勢いがあったので、相応の戸惑いはありましたが、周囲から少しずつ学んで経験を重ねてきました。また、私自身のそうした経験もふまえて、未経験の方でもメディカルライターとして成長できるよう、今は育成プログラムを整えています。医学や薬学のバックグラウンドがある方のほうがキャッチアップしやすい側面はありますが、その方の知識やスキルに合わせて指導しますので、業務経験や意欲に応じて成長できる職場となっています。

―ご自身は、エムスリーでどういう点が成長できたと実感されていますか?

製薬業界や各種疾患領域の最新の状況を常にキャッチアップできているのに加え、ロジカルな思考が身に付いたと感じます。このロジカルシンキングというのはエムスリーの特長ですが、仕事の上では常に結果を求められるため、どのようなプロセスであれば効率よく成果を出せるかを考えて業務に当たるなかで、自身にもこのスキルが身に付きました。

―遠藤さんは病院薬剤師時代に緩和ケアチームで多職種連携を経験されています。また、薬剤師間でもチーム体制がベースにあったと思われますが、メディカルライターの仕事では、より個人でのパフォーマンスが求められるのでしょうか?

私は、この仕事の一番良い点は、個人の裁量に任される部分と、多職種や他業種とのチームワークで行う部分とのバランスの良さにあると思っています。薬剤師というのはどのような業務でも人と関わることが基本となりますが、エムスリーのメディカルライターは任された仕事は個人ベースで行うので、予定も立てやすく、効率的に進められます。一方で、受注拡大、コンテンツのブラッシュアップ、などの目的によっては周囲の方の意見を取り入れていく必要もあり、その意味で社内外の人とのつながりや交流も大切です。その両面がバランスよくある点がやりやすく、自身の成長にもつながっていると感じます。

―メディカルライターのやりがいや面白さ、また、難しさは何でしょうか。

各種疾患領域の最新情報をキャッチアップして製薬業界の今を知ることができる点や、医師への取材を通して最新の知見に触れることができるのは、この仕事ならではの面白さです。また、自身が手がけたコンテンツという成果物に対して、クライアントである製薬企業や視聴された医師といったユーザーからの声を聞くことができ、評価をいただけるのは大きなやりがいとなっています。

難しさとしては、医療情報には間違いが許されませんので、数値やエビデンスの解釈などを正しく、ミスなく扱わねばならない点があります。また、プロモーションを担当する薬剤に際立った特徴がない場合でも、医師から評価され治療向上につながる点を見出さねばなりません。そこは難しさであり、その価値を提供することこそが、この仕事の醍醐味だといえるでしょう。実際、一般的によくいわれる薬のメリットだけでなく、いろいろな角度からその薬剤を見ることが大事で、処方する医師にとって、服用する患者にとってはどうか。歴史的にはどういう位置づけの薬なのか。データの見方によっては潜在的なメリットが感じられないかなど、あらゆる視点から検討して考えるようにしています。

―そうしたメディカルライターに向いているのは、どういうタイプの方でしょう?

ライター職というと、豊かな文章スキルや表現力が必須と思われるかもしれませんが、メディカルライターは、エビデンスをベースにストーリーを構築していく側面が強いので、ロジカルに物事を組み立てられる人が向いています。ライティングスキルは仕事をしていく中で十分身に付けられるので、現時点での語彙力などに自信がなくても大丈夫です。

―最後に、求職者へメッセージをお願いします。

メディカルライターは、医学・薬学の知識を生かしながら、さらに広い視野で医療に貢献できる仕事です。薬剤師や医療従事者の方々に、病院や薬局、製薬会社での勤務以外にもこのような職業の選択肢があり、活躍できることを知っていただきたいですね。その上で、ご自身の成長や可能性を考えて、ぜひチャレンジしていただければと思います。